「己(おのれ)を知りうる者は賢者なり」
2016/12/15
最近はめっきり寒くなってきました。
我が家では小学生の頃からずっと現役を続けているエアコンが頑張ってくれていますが、少し襖を開けただけでせっかく暖まった空気が逃げてしまうので、部屋からなるべく出る回数を減らすために電気ポットに水を満タンに入れ、急須と湯飲みと、お茶受けをお盆に乗せてお茶受けを用意して篭るものの、お茶の飲み過ぎでお手洗いが近くなってしまって本末転倒なんて事に。準備を万全にしたつもりで、それが後から逆襲してくるものですから、小さい事ながら人間万事塞翁が馬だなと思う今日この頃です。
さて、期末テストが終わりました。
これから受験生は本格的に入試に向けて勉強をしていく事になるかと思います。例年そうではありますが、此処からがいよいよ受験生にとって正念場になってきます。今は学校では偏差値という言葉を使ってはいけない等という話も何年も前から実しやかに囁かれていますが、受験生の皆さんは嫌でも耳に入ってくることだと思います。ともすれば、成績表や模試の結果を見て一喜一憂するかとも思います。或いは、ご家族の方々の方が気にしているかもしれません。現実的な数字と自分の志望校を比較しては重苦しい気持ちになるかも知れません。
ですが、模試の結果をすこし勇気を出してしっかりと現状を見てみましょう。自分の現在地を知ることはとても大切です。イギリスの詩人、ジェフリー・チョーサーの言葉からタイトルは引用させてもらいましたが、これに似た言葉は孫子などたくさんあると思います。ですが、なんのために「己を知る」のかは説明不足な感があるように感じています。
いつも生徒の皆さんにはお伝えしている事ではありますが、模試のようなテストには多くの情報が詰まっています。自分は何で点を落としているのか。何の教科が苦手なのか。計算ミスなのか、実力の届かない問題なのか。
一見すると嫌な情報ですが、実はこれはひっくり返してみれば点を取れる場所でもあるんです。数学を例えに見てみましょう。都立高校入試であれば、驚く事に、一問の配点は5点からです。計算ミスはありませんでしたか?それを直すだけで5点増えますよ。あと少し練習したら解ける問題はありませんでしたか?それが出来ればもう5点増えますよ。もし10点増えれば凡そ偏差値で3-5の増加が見込めます。もちろん、その教科に限りですが。でも、そんな小さな事でも点数も偏差値もキチンと上がるんです。
己を知ることの最大のメリットは、実は自分の成長を分かりやすくしてくれることなのではないでしょうか。スタート地点を記録してこそ、現在地点との距離を図ることができます。そこで自分の成長や成果を実感として感じることができると思います。山田洋次監督も自著の中で語っていましたが、人間の成長には変わらない環境が必要である、というのは個人的にとても共感できる言葉です。
これらは、ほんの小さな前進ですが、まだまだ生徒達の成績には伸ばせる余地があって、その努力をする時間はあります。あと3ヶ月と少し。最後に悔いのないように精一杯頑張りましょう。